脱皮予定地点 三島慧
背中に縦一文字
黒々
入れ墨ともマジックの跡とも生来の痣とも言える
開きかけた裂け目にも似た
脱皮予定地点
踏み固められた輪郭を持つ肩甲骨を
見上げる無数の
(と言ってはいけないひとつひとつひとつの)
色素
素
首を回しても見えない
限られた線幅の中
逸脱をも含む素の揺れ動き
それぞれを見
繰り返す背中の痛みを断ち切ること
痛みは背中から心に還る
脳にある実体として
人を傷つけぬよう閉じこもる力として
空白の連を記す
かぎ裂きが蹴破った体躯
のたうつ内側の流動体に
誰が標した
あの脱皮予定地点を
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