見ること   三島慧

見るたびに違って見える物語
追加された記憶が視点を組み換えていく
話法は光速で進み続ける

さまよう物語遺伝子(トランスポゾン)は
登場人物とストーリー展開を渡り歩き
役者に印を付けながら
利己的に生き延びようとする

なぜ見るたび別の登場人物に感情移入できるのか?
白髪の語り部が磨き上げられた手鏡を覗きこむ

そうして引き戻される
関係(ひとびと)と体系(しくみ)の中に


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